バイクを運転するということは、車と比べて交通事故時の傷病リスクが高くなります。
すり抜けや追い越しをするバイクは市街地などでしばしば目にします。そういった行為は、自分だけでなく周囲の怪我をさせるリスクがあり、最悪の場合命に関わる事態に発展します。
また車体の修理に伴う金銭的リスクも伴うことになります。
5分や10分の時短をしたいがために、相当のリスクを背負っている行為であると自覚するべきだと考えます。
気がせって無理な追い越しをしたり、スピード超過になりがちになるより、5分でも早く出発して心に余裕をもった運転を心がけましょう。
今回は筆者の20年の経験から、バイクを走行する際に気をつけたいことを自身の体験を踏まえて解説していきます。
右直事故
いわゆるサンキュー事故もこれに含まれます。
直進車はそこそこスピードが出ている可能性があります。
それゆえに衝突時の衝撃や被害が甚大となる可能性が高くなります。
筆者は右直事故の経験はありませんが、対向車の右折待ちを見かけたら、常に見切り発車でつっこんでくるかもしれないことを念頭に入れています。
また、バイクはこの右直事故に巻き込まれる可能性が高いと考えます。
なぜなら、交差点内で車の追い越しや追い抜きをしてしまった場合、右折待ちの対向車からは自分のバイクが死角となっているからです。
特に、バイクで走行しているときに、赤信号になりそうだからとむりやりスピードを出して交差点内に進入すると、右折待ち対向車と激しく衝突する可能性を十分に理解するべきです。
(そもそも交差点内での追い抜きをしてはいけない)
※ちなみに右直事故に関しては、親族が経験しています。傷病ごとにはなりませんでしたが、車のドアまるごと交換で十万円以上の修理費がかかりました。
右左折時、路線変更時、後方確認を怠らない
通常の右左折時に後方確認することはもちろん、同一車線内を移動する際も周囲の状況を確認するべきです。
というのも、バイクは車と違って車体が小さく細いので、同一車道の中でも左側・中央・右側という3つの走行ラインがあります。
左側を走行していたけどもうすぐ右折するから右側に寄っておこうと思って、後方確認をせずに同一車線内移動を試みると痛い目にあうでしょう。
※筆者の体験談
狭い一方通行のバイクを走行していた。交差点でウインカーを上げず、後方確認もせずに右折を試みた。周囲には人っ子一人、車っ子一台いないと思って油断していた。
その際、バイクの斜め右後方に車が走行していたらしく、車の前方左側面に衝突してしまった。
まさかこんな狭い一方通行の道で追い越しをされそうになるとは想像していなかった。さらには交差点内での追い越しなど全く予期していなかった。
相手方の車は商用車だった。車から出てきた人がガラのよろしくない方で、機嫌の悪さを隠すなどの計らいはなかった。ウインカーをあげなかった筆者の非を責めてきた。
相手のことはさておき、筆者自身の非があったことは間違いなかったので、謝罪と相手の身の安全確認をおこなった。
当初は、警察に行くか?あぁ?というような振る舞いであった。後半からは、俺会議あるから忙しいんだよなぁーといって結局足早に去っていった。
雨天走行
雨の日の走行は、事故のリスクが上がることを理解しておきましょう。
雨で濡れた路面を、いつもと同じような調子で走ってはいけません。直進するだけならそこそこスピードが出ていても、前方確認を怠らずにいつでも停車に備えてコントロールしておけば、リスクは減らせます。
雨の日のマンホール上でカーブしたりアクセルを踏み込むと、バイクごとずるりと滑るので要注意です。
※筆者の体験談
雨+夜+急いでいた、という状況の中、国道をバイクで走行していた。
雨が首筋を伝って服の中に侵入しているような不快な気に襲われて、思わず顔を下に向けがちに走行していた。
すると前方の車が思わぬ場所で停車した。そのさらに前方が右折待ちをしてちょっとした渋滞ができていたのだ。
筆者は顔を下に向けて走っていたので、車の渋滞に気づかなかった。直前に急ブレーキを踏んだが、路面が濡れていたためスリップしてそのまま横倒しとなり、前方の車体をこずいてしまった。
相手方の車はワンボックスカーだった。車から出てきた相手は、チンピラさんかな?と一瞬思ってしまうほど雰囲気の怖そうなお兄さんだった。
車体の傷を見るなり、コンパウンド塗れば大丈夫でしょ、といってくれた。
紛らわしい外見とは裏腹にとても優しい人だった。
朝日、夕日による視界不良
経験者も多いと思いますが、かたわれ時・たそがれ時の太陽の光は、ときとして視界をシャットアウトさせます。
時間帯にもよりますが、冬時期は太陽がのぼるのが6時〜7時台です。通勤ラッシュ時の殺気だった道路と相まって気をつけたい時間帯となります。
※筆者の体験談
朝の通勤時、とにかくイライラしていた。
怒り心頭といった状態で、職場へと向かっていた。
バイクが橋を越えるとき、まばゆい太陽の光に視界を奪われる。さらに橋はアーチを描いており、橋の向こう側を視認するのは渡きってからであった。
朝日のまぶしさと、視認へのタイムラグ、そしてなにより精神的不安定さも加わっていた。それゆえに、橋の先に停車していたトラックに気づかず激突してしまった。
バイクで派手に転倒したのは初めてだ。大転子のあたりをしたたかに打ったが、アドレナリンが出ていたため痛みをまったく感じなかった。
その日の夕方頃からどんどん痛みが出てきて、一ヶ月ほど痛みが続いた。
一瞬の気の緩みも命取りだ。今振り返れば、数秒は意識やら視界やらが不良の状態で走行していたと思われる。衝突したのが生身の人間でなくて本当によかった。
目の前のふいの飛び出し
コンビニから突然車が車道に進入してきたり、横断歩道のないところから突然歩行者が飛び出してきたり、二車線の車道の間を自転車が走っていたり、猫が突然飛び出してきたり、とにかくなんでも飛び出してきます。
予想もつかないものが飛び出してくるので、常に目の前になにかが飛び出してくることを念頭におきながら運転するべきでしょう。
筆者も、常時安全運転ではありません。ときには60〜70km/hを超えて走ることもあります。そんなときこそ、リスクのアンテナを張ってふいの飛び出しに備えて走行しています。
※筆者の体験談
飛び出しでの急停車はしばしば経験する。
え?絶対左右確認してないよね?と思われるほどの車は往往にしてある。差別的な発言になってしまうが、筆者自身の統計上だと、そこそこ人生経験を積んでいる女性での運転に多い。t
たまにしか運転しないドライバーさんに多いのかもしれない。
また、地域がらというのもあるが、横断歩道のない道路を横断するケースが多い。バイク側の減速ありきの歩行スピードでゆっくりと横断される高齢の方をしばしばお見かけする。もちろん減速して温かい目で応援している。
まとめ
20年ほどバイクに乗り続けているが、こうして今も生きています。過去を思い起こせば、ただ運がよかったから死なないで済んだケースもありました。
運よく生き延びたこともありますが、大きな事故を起こさないでこられた最大の要因は〝今日わたしは事故を起こすかもしれない〟と思いながら運転をすることだと思っています。