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【一般人でもできる】心肺停止時の対応

BLS 救命処置

※当ブログは中年世代を応援するための情報サイトとなります。

人生長く生きていれば、救急を要する場面に出くわすこともあるでしょう。そんなときスマートな対応ができるかできないかは、ミドル世代のステータスの一つとなるのかもしれません。

ブログ管理者も、過去に救急要請を依頼するような経験がありました。ショッピングモールで中高年夫婦の男性が一瞬意識を失って倒れているのを発見したり、幹線道路での交通事故現場で動けなくなっている人を見かけたこともあります。

やはり経験的には交通事故後の傷害が多い気がしますが、それは私の場合だけかもしれません。

正直なところ、あなたがどんなシチュエーションで遭遇するかは全くわかりませんよね。

交通外傷、水難事故、機械による事故、火事などの火傷、窒息、疾患によるもの・・・。疾患であればそれはどんな病気なのか・・・。

そんな判断とそれに合わせた適切な処置など、一般人にできるはずがありません。

場合によっては、やってはいけないことをしてしまうかもしれません。

それでも最悪の状態(心臓や呼吸が停止している状態)の対応というものがあります。

今回は誰でも実施可能な一次救命処置(BLS)といわれるものをご紹介します。

目次

BLSとは・・・?

BLSとは、basic life supportの略で、専門的な医療器具がなくても行うことができる処置のことです。具体的な処置としては、人工呼吸と胸骨圧迫となります。

以下の図はカーラーの救命曲線とドリンカーの救命曲線といわれるものです。

カーラーの救命曲線
コラム 第三次救急医療機関へのアクセス (mlit.go.jp)
ドリンカーの救命曲線
心肺蘇生法 (sozo2.ac.jp)

図からわかるように、心肺停止から5分ほどで救命確率が5割ほどに低下します。また心肺停止から無処置で10分放置すると、救命は絶望的になります。

意識的に呼吸を止めてみてください。おそらく2分ともたず苦しくなりますよね。人は酸素の供給なくして生きてはいけないのです。

このことからわかるように、心肺が停止してしまった場合、一刻も早い対応が求められます。

そのための救命処置をこれから説明します。

BLSのアルゴリズム

図に2020年版BLSアルゴリズムのフローチャートを示します。

順に説明します。

BOX1 安全確認

これはまず処置を行う側の身の安全を確保しましょうということです。

車の往来の激しい場所だったり、山岳での傾斜の強い場所など、ときとして危険な場所での救助となる可能性もあります。二次災害に繋がらないよう、救助する人間の安全を確保した上でBLSを行う必要があります。

BOX2 反応はあるか?

心肺停止であれば、頭への血流がないのでまず意識はありません。
逆をいえば、多少なりとも反応があれば超緊急の状態ではありません。

意識確認の方法は、倒れている人の両肩などを強めにたたき、「大丈夫ですか?!」と大きめの声をかけます。
両肩である理由は、片麻痺などがあるとたたいていることがわからないためです。
また大きめの声である理由は耳が遠い場合でもちゃんと聞こえるようにするためとなります。

このとき、何かしらの反応やしぐさがあるかを確認してください。顔をしかめたり、嫌がるような動作をしたりするようなら、ひとまず循環が保たれていると考えられます。

また、特に交通外傷などが疑われるような場合、傷病者の正面から確認するようにしましょう。頸部の外傷がある場合、振り向かせたりむやみに首を動かすと頸椎などにさらに損傷を加える可能性があります。

BOX3 応援を呼ぶ・119番通報・AED要請

反応がない時点で、次に心肺蘇生の対応に移りたくなるかもしれませんがそうではありません。

自分一人でできることなど限られています。そういうときは周囲に助けとなる人がいるならば応援を頼みます。

もしあなた自身がイニシアティブを取る立場であるならば、119番通報とAEDを持って来てもらう人など、あなたが指示を出してください。

緊急事態であるので、やってくれそうな誰かを待つのではなく、こちらから人を指名して指示を出せるのがベストです。

BOX4 普段どおりの呼吸はあるか?

胸の辺りに手を当てて呼吸があるか確認したり、口元に耳を当てて呼吸音の確認をしてください。
おすすめの呼吸確認の方法は、画像のように下顎(あご)を持ち上げて気道確保をしつつ、傷病者の顔に耳を近づけて呼吸の有無を確認しつつ、目線は胸部や腹部に向けて呼吸の動きがあるかを確認します。

一般人がいきなりこれをやるのは難しいかもしれません。しかし医療に従事している人は、この気道確保と呼吸確認と同時に脈拍の確認も行っています。脈拍触知の方法もあるのですが、一般人のBLSで脈拍の確認はしなくてもいいことになっているため説明を割愛します。
一般人が的確に脈拍の有無を判断することは難しく、これに時間と手間を割いていては救える命も救えないためという理由です。

普段なかなかやり慣れていないので判断が難しいこともあるかもしれませんが、この判断に手間取ってはいけません。時間がかかればそれだけ救命の確率が低下してしまうからです。(先ほど説明した救命曲線がその理由となります)

※もし同居している家族がいるなら、寝ているところを見てどんな呼吸をしているのか確認してみてください。

※また本来は呼吸の確認だけでなく、脈拍の確認も同時にできるのがベストです。しかし一般の市民が正確に脈拍の有無を確認することができないばかりか、それに時間をかけてしまっては本末転倒であるということから脈拍の確認はしなくてもいいということになっています。

BOX5 胸骨圧迫を開始する

胸骨圧迫とは、いわゆる心臓マッサージというやつです。

画像のように、胸の真ん中あたりを圧迫します。

強く・速く・絶え間なくを意識して行います。

具体的には約5cmの強さ100〜120回/分の速さとなります。(相手が成人の場合)

両肘をまっすぐ伸ばして垂直に押します。
両手を組んでなるべく手のひらをそらせて、手根部というところで胸骨圧迫をします。

心臓はどのようにして血液を送り出しているの? | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)

イラストのように、心臓は肋骨と胸骨の中にあります。
胸骨の下半分を押します。

このように細かく書いてしまうと、いざ胸骨圧迫をするとき迷ってしまうかもしれません。
胸と腹の境目はどこ?胸骨の下半分?どこ?服は必ず脱がせた方がいいの?など。
服は無理に脱がせなくてもいいですし、悩むくらいならばとにかく胸の真ん中を意識して強く早く絶え間なく押すことだけを考えます。

より効率のよい胸骨圧迫のコツとしては、胸骨を5センチ押したら元の位置まで戻してください。
圧迫を元の位置まで戻すことで、心臓に血液を充満させて次の圧迫で有効な心拍出を得ることができます。

※胸骨圧迫の継続というのは予想以上に体力を消耗する作業となります。一人で継続すればするほど胸骨圧迫の効率が低下するので、無理をせずに誰かに代わってもらうべきです。

※一般人が胸を圧迫する部位がわからないということもあるかもしれません。中国の怪しいサイトで心臓マッサージをしている動画を見たことがあるのですが、ひたすらに腹部をマッサージしている動画でした。心臓は肋骨や胸骨に囲われた部分にあるため、骨がない部分を圧迫しても無意味です。ぜひここのサイトで圧迫する場所を覚えてください。

BOX6 人工呼吸

人工呼吸の実施に関しては、状況に応じて決めます。

家族などの親しい間柄であれば人工呼吸にも抵抗は少ないでしょう。しかし見ず知らずの、ときには嘔吐などしている人に対して果たして人工呼吸ができるかというと、できなくても責められはしません。

そこに躊躇してしまって胸骨圧迫が中断されてしまうようなことは避けるべきです。胸骨圧迫をすることで多少なりとも換気がなされているというデータもあります。

BLSのガイドラインでも、一般人の人工呼吸は明記されていません。

しかしながら、バックバルブマスクなどの器具があれば必ず行った方がいいでしょう。

胸骨圧迫30回に対して人工呼吸2回の組み合わせで行います。

換気は全年齢で1秒行います。

※救命処置対応ができる人間が二人以上いれば、胸骨圧迫の中断なく人工呼吸を行うことができます。しかし一人しかいない場合、人工呼吸の方がおそろかにならざるを得ない場合もあります。これに関しては、胸骨圧迫によって多少の換気も同時に行われるという見方もあるため、やはり胸骨圧迫が優先されます。

BOX7 AEDの装着、実施

突然の意識消失や急変の場合、心臓疾患が原因であるケースは多いです。それでなくても、全く別の疾患や事故から意識反応がなくなるほどの状況となれば、二次的に心臓に異常を来している可能性は十分にありえます。

AEDというのは、この心臓の特に〝心室〟が拍動できずに震えている状態となっている場合に、正常な拍動に戻すことができる機器です。

一昔前と比べてAED設置場所は増えています。特に人が多くいる場所には置いてある可能性があります。

AEDのパッドを体に貼ります。電気ショックが心臓を通過するように、心臓を挟んで2か所貼ります。

服の上から貼っても意味がないので、皮膚に密着するように貼ってください。
(ちなみに上の画像のパッドは貼り方が甘いです。隙間なく貼り付けてください)

パッドを貼る位置はパッドなどに表示されているかもしれませんが、その部分が怪我などで貼ってもいいのだろうかと悩むことがあるかもしれません。
究極的には〝心臓を挟んでいる〟ことが重要となります。そのため、例えば出血で血がどばどば出ているような場所にパッドを貼っても皮膚に密着していなければ除細動効率は低下します。
両脇で挟むようにしてもいいですし、胸の上と背中で心臓を挟むように貼っても大丈夫です。
悩むより、とにかくやる!の精神が大事かと思います。

あとはAEDが指示を出すので、指示にしたがって操作をしてください。

この間も胸骨圧迫は中断を最小限にします。パッドを貼るときすらも、胸骨圧迫は継続するべきです。

AEDが解析のため患者から離れてくださいという指示があったら胸骨圧迫や人工呼吸を中断して指示に従ってください。また電気ショックの必要があり、ショックを打つ場合も胸骨圧迫や人工呼吸を中断して患者から離れてください。
電気ショックは勝手には行われません。その場にいる人がボタンを押すことで行われます。
AEDが解析のため患者から離れてくださいという指示があったら胸骨圧迫や人工呼吸を中断して指示に従ってください。また電気ショックの必要があり、ショックを打つ場合も胸骨圧迫や人工呼吸を中断して患者から離れてください。
電気ショックは勝手には行われません。その場にいる人がボタンを押すことで行われます。
ショックボタンを押す前に周囲の人間が傷病者から離れていることを確認してから行ってください。

※電気ショック後は速やかに胸骨圧迫を再開してください。脈の確認などは必要ありません。
※AEDがショックの必要がないと判断した場合、必ずしも心拍が再開したことを意味しているわけではありません。心拍再開は、AEDではなくそこに居合わせた人たちが判断するのです。

BOX8 救急隊がくるまで、もしくは反応があるまで続ける

救命処置に関しては救急隊がプロとなるため、救急隊が到着したら引き継いでください。

反応といっても、意識があるかどうか、目的のある仕草が見られるか判断してください。

まとめ

ここまでスマートにできたらいいのですが、実際はそうはうまくいかないでしょう。
救命処置をしたからといって必ずしも助けられるわけではありません。それはどんなに有効な処置をしてもです。

それでも救命処置をしないで救命できた割合と、救命処置をしたことで救命できた割合を比べると、救命処置を行った方が救命できた割合が高いというデータが出ています。

この発言は炎上してしまうかもしれませんが、見ず知らずの人を助けるだけなら、そこまで一生懸命にならずとも問題にはなりません。むしろヘタに介入してしまうことで余計なトラブルに巻き込まれないとは断言できないでしょう。

しかしこれが自分にとって身近な人だったらどうでしょうか。助けることができずに後悔することがないよう、BLSは知っていて損ではありません。

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